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脚本の書き方 脚本雑記

ドラマ企画書の書き方|具体例と採用される企画書を書くコツを紹介

ドラマの企画書ってどう書くの?

通るドラマ企画書ってどんなの?

シナリオコンクールで受賞するようになると、テレビ局や制作会社のプロデューサーから声がかかりドラマの企画書を書く機会が増えてきます。

しかしそうした駆け出しの脚本家の場合、脚本の書き方は辛うじてマスターしていても、企画書の書き方は学んでいないといったケースも少なくありません。

そこでこの記事では、ドラマの企画書の書き方を紹介します。

なお、通常、脚本家の書くドラマの企画書は、ドラマ制作のプロデューサーに提出し、プロデューサーがさらにブラッシュアップして企画会議にかけます。企画会議に通ったからといって、企画書を書いたライターが必ずしも脚本を書かせてもらえるとは限りません。しかし、通らないよりは通った方が脚本まで書かせてもらえる可能性は高まります。

そのためにも「(企画会議に)通る企画書」を書くことが脚本家として生き残るためにも大切です。

通る企画書には何が必要かというポイントについても解説しますので、企画書を通して、たくさんの仕事を勝ち取りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

ドラマの企画書とは

ドラマの企画書はドラマ化のアイデアを実現化するために書くものです。

通常はプロデューサーが企画書を作成し、テレビ局での企画会議に諮って企画を通します。ドラマの企画書は「こういうドラマを作ります」というドラマのアイデアをまとめたものです。企画書を見て「面白い!作ろう!」ということになれば、予算・スタッフ・出演者など関係者を集めるための資料として使われます。

プロデューサー自身も企画書を書きますが、多忙で書けない場合や、広くアイデアを募りたいなど協力を仰ぎたい場合などに、テレビ制作会社や脚本家に企画書の執筆を依頼します。

新人脚本家は、こうした機会に積極的に企画書を出し、その企画書が通れば、脚本を書けるチャンスが広がります。脚本をより多く書かせてもらうためにも、「通る企画書」を書くことが重要といえるでしょう。

ドラマの企画書は決まった書式があるわけではありませんが、盛り込む内容はほぼ共通しています。以下で具体的に解説します。

ドラマの企画書に書くべき内容

実際のドラマの企画書の枚数は用途などによって、A4サイズ用紙で1枚だったり、3~5枚だったり、10枚以上の厚さのものだったりとさまざまです。

枚数が異なっても、ドラマの企画書に盛り込むべき内容はほぼ決まっています。具体的に挙げると下記の通りです。

【ドラマの企画書に盛り込む項目】

書くべき項目書くボリューム書く内容
タイトル1~2行程度ドラマのタイトルを書く。
企画意図・訴求ポイント1/2ページ~1ページ程度今、そのドラマをやるべき理由。その企画に込めたパッションや、どんな層をターゲットとしているか、その企画の強み、テーマ、特徴、企画を通じて伝えたいことを書く。
あらすじ・概要1/2ページ~1ページ程度ドラマのストーリー概要がつかめるように短めのあらすじを書く。短いが、ジャンルやテイスト、結末、見どころがわかるように書く。
主要登場人物1/2ページ~1ページ程度主人公、副主人公、宿敵など主要登場人物を書く
ストーリー展開(プロット)1ページ~連続12話のテレビドラマの場合は、12話分に分けたストーリー展開を書く。短めの簡単な企画書の場合は5枚程度、長めの詳細な企画書の場合は20枚以上に渡ることも。

ドラマの企画書の具体例

A4で3~5枚程度の簡単なドラマ企画書の例を紹介します。

A4で3~5枚の場合は、下記の枚数の配分が目安です。

  • 1枚目:表紙(タイトル・企画意図)
  • 2枚目:あらすじ・主要登場人物
  • 3枚目~5枚目:プロット(ストーリー展開)

例えば下記のように書きます。

タイトル

まずは企画書の表紙にタイトルを書きます。
ここで書いたタイトルは、ドラマ化する際には、変更される可能性があるものです。企画段階で、その作品を体現した惹きのあるタイトルをつけておきましょう。

企画意図

次に企画意図を書きます。企画意図は、表紙にタイトルとともに書くケースが大半です。

今、そのドラマをやるべき理由や、企画に込めたパッションを書きましょう。今といっても、ドラマ化実現までに1~2年かかることも少なくありません。1~2年先を見越しての訴求ポイントにする(××年のオリンピックに向けての企画など)、1~2年経っても古びない訴求ポイントにすることが大切です。

企画意図は1/2ページ~1ページ程度のものですが、その中に下記のようなポイントを含めるようにしましょう。

  • なぜ、今やるのか
  • 誰をターゲットとして何を伝えるのか
  • テーマ
  • 企画の強み・特徴

あらすじ・概要

5枚以上などボリュームのある企画書の場合は、最初に簡単なあらすじを記載しましょう。
1/2ページ~1ページ程度で、ドラマのストーリー概要がつかめるように短めのあらすじを書きます。短い中でも下記がわかるように書くことがポイントです。

  • 誰が何をする話か
  • ジャンルやテイスト
  • 結末
  • 見どころ

なお、ドラマの企画書が全部で1~3枚程度と短い場合は、後に解説する「ストーリー展開」の部分があらすじとほぼ同じ内容となるため、「あらすじ・概要」はなくてOKです。

主要登場人物

1/2ページ~1ページ程度で、主人公、副主人公、宿敵などの主要登場人物を書きましょう。

主要登場人物1人当たり下記の要素を含めて書きます。

  • 名前
  • 年齢
  • 職業
  • 人物紹介(3~10行程度)

それぞれの登場人物について、どういった俳優のキャスティングをイメージしているかといったイメージキャストを書く場合もあります。

ストーリー展開(プロット)

ドラマの全体の尺に合わせたストーリー展開のイメージをプロットで書きます

連続12話のテレビドラマの場合は、12話分のストーリー展開を書くことになります。映画や2時間ドラマの場合は、約2時間の尺のストーリー展開を書きます。

A4で5枚程度の短めの簡単な企画書にまとめなければならない場合は、ストーリー展開を3枚~5枚程度にまとめます。長めの詳細な企画書を作る場合は、ストーリー展開部分だけで20枚以上になることもあります。

連続ドラマで、ストーリー展開を3枚程度にまとめなければならない場合は、第1話の展開のみを1~2枚程度で詳しく書いて、第2話以降の展開については大体の流れを1枚にまとめて書くといった方法も取られます。

ドラマの企画書は用途によって必要枚数が異なる

ドラマの企画書を書く前に、ドラマの企画書の用途や必要枚数を押さえておきましょう。

ドラマの企画書の枚数は、ニーズや用途によって異なります。1~2枚ぺらだったり、5枚だったり10枚だったり、ばらばらです。

企画書作成は、とにかく相手に読んでもらうことが大切です。忙しいプロデューサー、特にニーズを感じていないプロデューサーに、長文の企画書をいきなり送りつけても見てもらえない可能性もあります。

自分の企画書に関心をもってもらうためは、相手のニーズや状況に応じて枚数を加減することがおすすめです。

下記は、絶対的な基準ではありませんが、目安として参考にしてください。

企画の初期段階ではA4で5枚程度

そもそもそのアイデアを企画会議に図るかどうか検討する段階のドラマ企画書はA4で1~5枚程度です。企画会議にかけるかどうかも未定なので、ラフなアイデアでOKです。多くの企画を見比べるため、短いボリュームで魅力を感じさせるように書くことが大切です。

この段階を経て、企画書に出すことになればもう少し詳しくしたドラマ企画書が求められる場合もあります。

企画会議での検討用はA4で10枚~20枚など

企画会議に諮るための企画書として使う場合は、A4で10枚~20枚といったボリュームの企画書が多くなります

企画に通った後の制作向けはA4で20枚~など

企画会議で企画が通った後は、企画書をさらにブラッシュアップして、関係者への打診用の資料として活用されます。

例えば下記のような関係者にドラマ制作への強力を仰ぐためにドラマ企画書が必要とされます。

  • 原作者/出版社に使用許諾を得るため
  • 俳優に出演の打診をするため
  • 演出家や脚本家などのスタッフに制作を打診するため
  • 企業スポンサーの打診をするため

これらの用途で使われるドラマ制作に向けての企画書は、A4で20枚以上とボリュームのある企画書がよく利用されます

採用されるドラマ企画書にするポイント

通るドラマの企画書にするために大切なのは、まず、「ちゃんと読んでもらえること」また、「このドラマなら見てみたい」と思ってもらうことです。

そのためにも、次のポイントを押さえておくことがおすすめです。

わかりやすく見やすくする

大前提として忙しい人でも短時間で読めるように、わかりやすく見やすく書くのがポイントです。

レイアウトに凝りすぎる必要はありませんが、文字の大きさや行間、スペースなどについては見やすく工夫をした方がよいでしょう。

特にプロット部分など、比較的長文となる部分は、段落分けをしっかりする、適度に改行をするといった、見やすい形に工夫することが大切です。

また、枚数についても用途やニーズに合わせた枚数に加減することも大切です。あまりに長いと読んでもらえないケースもあるため注意しましょう。

求められる視聴対象に合った企画にする

ドラマの放送枠は、ゴールデンタイムの連続ドラマ枠や、深夜の連続ドラマ枠、単発のスペシャルドラマ枠などさまざまにあり、それぞれ視聴対象層が大体決まっています。

制作側には、「特にF2層に見てもらいたい」などの狙いがある場合もあるため、放送枠の視聴対象や狙いを踏まえて企画書を書くようにしましょう。

なお、ドラマの視聴層で、よくF1、F2などといわれることがありますが、それぞれ具体的には下記の性別・年代の視聴層を意味します。

【ドラマの視聴層のF1、M1とは?】

視聴層内容
F1層20~34歳の女性
F2層35~49歳の女性
F3層50歳以上の女性
M1層20~34歳の男性
M2層35~49歳の男性
M3層50歳以上の男性
C層4〜12歳の男女
T層13~19歳の男女

予算にあったスケールのストーリー・世界観を選ぶ

ドラマの企画を通すには、予算にあったスケールのストーリー・世界観のドラマを提案することも大切です。

ドラマの正確な予算はライターには分かりませんが、ゴールデンタイムの1時間枠の連続ドラマと深夜の30分枠の連続ドラマとでは、かけている費用が異なることは想像できるでしょう。

例えば、深夜枠30分の連続ドラマなどのあまり予算がかけられないと思われるドラマ枠に、海外ロケを多く取り入れたものや、ハリウッド映画並みの大スペクタクルな戦闘ものなどは通りにくいといえます。

予算を意識して小さくまとまりすぎるのもよくありませんが、あまりに採算を度外視したものだとドラマ化の実現がそもそも不可能といえます。

ドラマの企画書では、限られた予算のなかでも、枠にとらわれない柔軟な発想ができる、目新しい発想ができるといった面白さを提案することが求められます。

魅力あるログラインのドラマを提案する

ドラマの企画書を書く際には、ドラマのログラインを考えながら書くことがおすすめです。ログラインとは、そのドラマがどんな話であるのかを1~3行で表したものです。

「このドラマなら見てみたい」と思ってもらうためのコツは、ログラインに魅力を持たせることです。

例えば、ヒットドラマの「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」などでは、「群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌う『派遣』の天才外科医大門未知子が、正確無比な知識と技術を武器に、どんな病の患者をも救うストーリー」といった強烈なログラインがあります。

このように、ドラマ企画書に書くドラマの見どころを一文にまとめてみましょう。

ログラインだけでも面白いと思える場合は、面白い要素が十分にそろっているといえます。ログラインに今一つ魅力がない場合は、ログラインベースで魅力的な要素を足してみて、企画のテーマやキャラクターに落とし込んでみることがおすすめです。

ログラインの書き方については、「ログラインとは?書き方と名作映画のログラインを一覧で紹介」の記事も参照してください。

魅力あるキャラクターにする

「このドラマなら見てみたい」と思ってもらうためのコツとしては、主要登場人物のキャラクターに魅力を持たせることも重要です。

先述した通り、ドラマの企画書は、俳優に対して出演の打診をする際にも利用されます。キャラクターは視聴者が見て面白いと思える上に、俳優が演じたいと思えるキャラクターであることが大切です。

ありきたり、典型的な登場人物であるよりも、その作品のテーマに沿った深みのあるキャラクター作りをする必要があります。そしてそのキャラクターの個性を、主要登場人物の説明欄やストーリー展開におけるセリフや行動で、しっかり示すようにしましょう。

魅力あるストーリー展開にする

「このドラマなら見てみたい」と思ってもらうには、ストーリー展開に魅力があることも大切です。

魅力あるストーリー展開には、魅力あるログライン、魅力あるキャラクターが必要です。

また、具体的な書き方では、連続ドラマ用の企画書の場合、一話、二話など複数話に渡るストーリーについてプロットで紹介しますが、特に一話のストーリーで、そのドラマの面白さを凝縮して見せる必要があります。

1話のプロットで、登場人物のセリフや行動でそのドラマの世界観、テイスト、ジャンルを魅力的に見せ、次回以降が気になるようにストーリーを書き終える必要があります。

1話の終わりで2話への興味を引いて、2話を話を繋ぎ、2話のストーリーも、3話が気になるような形で書き終えるなど、「続きが気になる」ように書くのも面白く見せるコツの一つです。

6.ドラマ企画書の報酬は?|ドラマの企画書についてのFAQ

ドラマの企画書について「報酬ってもらえるの?」「報酬が払われないときはどうすべき?」といった疑問を抱くこともありますよね。

以下ではそうしたドラマの企画書に関するよくある質問について、Q&A形式で解説します。

ドラマの企画書のギャラは?

プロデューサーから直接依頼をされて書く場合のドラマの企画書のギャラの相場は、執筆枚数などのボリュームや提出先にもよりますが、5,000円~5万円です。

ドラマの企画書のギャラは、プロデューサーから仕事として正式に発注された場合にのみ支払われます。正式な発注というのは、「報酬を支払うので書いてください」といわれて受けるケースです。

自主的にプロデューサーへ持ち込む場合や、プロデューサーとの研修会などでドラマの企画書を出す場合には、基本的にギャラは払われないといっていいでしょう。また、「企画が通れば報酬を支払う」といわれて受ける場合も、ほとんど報酬は期待できない(企画が通る可能性は低い)といえます。

A4で5~10枚程度の企画書であれば、5千円~3万円程度が多いといえるでしょう、企画書が20枚以上に渡り、専門家への取材が必要など工数がかかるものは5万~10万円ほど出るケースもあります。

なお、ドラマの企画書の提出先が、制作会社のプロデューサーであるより、テレビ局のプロデューサーである方が企画書の単価は高くなる傾向です。

ドラマ企画書の報酬が支払われない場合はどうするの?

ギャラが支払われない場合、督促していいのかどうか迷うこともありますよね。結論をいうと、「先日のドラマ企画書のお支払いの件はどうなっていますか?」と丁寧に問い合わせることをおすすめします。

ドラマの企画書の報酬は、通常は、企画書を依頼したプロデューサーから「請求書をください」といわれて請求書を提出し、支払いを受けます。

しかし、ドラマの企画書の提出、すぐに支払いがあることは比較的少なく、提出から1~2ヶ月、場合によっては半年後など、かなり時間が経ってから支払われるケースが少なくありません。支払いが先になるため、なかなか請求書発行の連絡をもらえないままに、結局請求をしそこなう(ギャラの未払いに終わる)こともよくあります。

ギャラの未払いの原因としては、プロデューサー側がライターへの支払いを単純に忘れていることも多くあります。また、ライター側もプロデューサーから煙たく思われることを恐れて報酬の請求をしないといった事情が、ギャラの未払いを後押しします。

新人脚本家の場合、ギャラの督促をしていいかどうか迷うケースも少なくないと思いますが、基本的にギャラの督促はして問題ないといえます。

ここからは個人的な経験からの意見ですが、局内外から評判のいいプロデューサーは、比較的ギャラを払ってくれるケースが多いように思います。忘れてしまうケースがないわけではないですが、「ギャラはいただけますか?」と聞いた場合、良心的に対応してくれます。

一方、内外からあまり評判のよくないプロデューサーほど、ギャラの督促に対して返信がない、逆ギレするといったケースが多いといえます。

信頼できるプロデューサーは発注した仕事に対しては、きちんと支払いをしてくれるので、未払いが気になっている場合は、素直に聞いてみるとよいでしょう。それで邪険にされた場合や不当な扱いを受けた場合は、そのプロデューサーとは無理に付き合わないことをおすすめします。

ライターは、はいて捨てるほどいる(から督促なんて生意気な行動するな)といわれることもありますが、プロデューサーも世代交代・淘汰されていくので、変なプロデューサーに固執する必要はありません。新たな出会いを求めて切り替えることがおすすめです。

原作のあるドラマ企画書は、出版社への確認が必要?

結論をいうと、ライターが出版社に確認する必要はありません。

漫画や小説といった原作に基づいたドラマ企画書の提出を求められることもあるでしょう。「ドラマ化に適した漫画や小説を探して、企画書にして提出して」といった依頼を受けるケースです。

そうした場合に、「漫画や小説を出版する会社に、ドラマ化していいかどうかの確認や打診をしてから書いた方がいいの?」と悩む人もいます。基本的に、出版社に許諾を得るのはプロデューサーの仕事のため、ライターが気にする必要はありませんし、ライターが打診をしたところで許諾を得られることはまずありません。

許諾を得ることよりも、過去にすでにドラマ化されていないか、また近々ドラマ化されるという報道がされてないかどうかを確認して、原作を選ぶことが大切です。

まとめ

ドラマの企画書の書き方について紹介しました。

採用されるドラマ企画書を書くためには、下記の点に注意して書くようにしましょう。

  • わかりやすく見やすくする
  • 求められる視聴対象に合った企画にする
  • 予算にあったスケールのストーリー・世界観を選ぶ
  • 魅力あるログラインのストーリーにする
  • 魅力あるキャラクターにする
  • 魅力あるストーリー展開にする

採用されるドラマの企画書を書くことが、脚本家として生き残るためにも大切です。これらの情報をぜひあなたのこれからの脚本家としての活動に役立ててみてください。

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