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脚本雑記

脚本家のマネジメント事務所ってどうなの?メリット・デメリットは?

脚本家デビューのきっかけが掴めない場合や、脚本家としての仕事がなかなか増えないといった場合には、

「脚本家のマネジメント事務所に入ってみようかな……」

と思うこともありますよね。

しかし、脚本家のマネジメント事務所に入ってみようと思っても、実際のところ脚本家の事務所って何をしてくれるのか、よく知らない人も多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは脚本家のマネジメント事務所の概要や、所属するメリット・デメリットについてご紹介します。

マネジメント事務所への所属を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

脚本家のマネジメント事務所とは

脚本家のマネジメント事務所とは、脚本家が創作・執筆に専念できるように、下記のような業務を担ってくれる事務所のことです

・仕事のあっせん
映画脚本、TVドラマ脚本、ネットシネマ脚本、アニメ脚本、漫画原作などの仕事の紹介。

脚本家の宣伝・PR活動
ホームページやSNSで脚本家のPR。TV局・映画制作会社への脚本家の売り込み。

契約書作成・条件交渉
脚本家のギャラの交渉、スケジュール調整、契約締結作業、入金管理、クレーム・トラブル対応

所属する脚本家は上のような業務をマネジメント事務所に依頼する代わりに、マネジメント料などの対価を支払います。

脚本家がマネジメント事務所に入るメリットとは?

脚本家のマネジメント事務所に所属するメリットは次の4点です。

・仕事のチャンスが増える
・事務所のWEBやSNSで宣伝してもらえる
・契約手続きや請求作業など庶務を一切任せられる

・業界の人脈を広げることができる

詳しくは次の通りです。

仕事のチャンスが増える

マネジメント事務所に入るメリットとしては、まず、さまざまな仕事先に自分を作家として売り込んでもらえ仕事を取ってきてもらえることが挙げられます。

実際のところ、事務所に所属すると、「こんな作家がいます」とテレビ局のドラマ制作部門や映画・ドラマの制作会社へ売り込みをしてもらえます。売り込みの結果、仕事のチャンスが増えます。

特にすでにキー局(日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビなど)でテレビドラマを書いた経験のある人、メジャーなシナリオコンクールで賞を取っている人などの場合は、期待度の高い作家として積極的にプロモーションをしてもらえます。

一方、キー局での実績が少ない人や受賞歴のない人は少しハンデがあるかもしれません。テレビ局の方も、いい作品を作るために既に実績のある(力のある)作家を使いたいので、実績の少ない人などにはなかなかオファーはしてくれません。

実績の少ない人の場合は、例えば同じ事務所に大御所作家や人気作家がいれば、そのおこぼれで(ちょっと手が足りないというようなときに)仕事をもらえたりします。そのため実績の少ない新人脚本家は、大御所脚本家や人気脚本家のいる事務所に所属した方がよいでしょう。

事務所によっては、テレビ局のプロデューサーを招いて新人向けに勉強会を開くこともあり、そうした場で自分をアピールするなどして仕事を獲得していくこともできます。

また、テレビドラマや映画といった大きな仕事をもらえなくても、ドラマのノベライズといった小説の仕事や、漫画原作、ショートドラマ・ビデオ解説のシナリオの仕事などの仕事をもらうことが可能です。そうした仕事で実績を積みつつキャリアを積んでいくことができます。

事務所のWEBやSNSで宣伝してもらえる

事務所の作家としてWEBや、SNS、パンフレットなどで宣伝してもらえます。

今や個人でもブログやSNSを活用して情報発信する人も少なくないため、メリットが薄いと思われるかもしれません。しかし、脚本家の中にはブログやSNSで情報発信をすることが苦手な人も多くいます。

セルフプロデュースが苦手な脚本家が少なくないため、事務所のWEB、SNSを活用しての宣伝はメリットといえます。

契約手続きや請求作業など庶務を一切任せられる

契約締結作業、ギャラの請求などといった細かい作業を事務所に任せることができ、執筆に専念することができます。

特に、駆け出しの脚本家にとって大きなメリットは、脚本料の交渉や脚本料の回収をしてくれることではないでしょうか。脚本料だけでなく、こまごまとしたプロットの執筆料ももれなくしっかりと回収してくれます。

駆け出しの頃は、どうしても仕事をくれるプロデューサーに強くは出れません。プロデューサーも忙しくてたまに細かい支払いのことを忘れることが少なくありません。

本来はフリーランスとして、対価は自分でキチンと回収しないといけないところですが、思い切って請求した結果そのプロデューサーからの連絡が途絶えてしまったということもたまにあります。事務所がギャラをしっかりと回収してくれるのは大きなメリットといえます。

事務所に所属すると契約・ギャラについての手続きに振り回されることがない点が利点です。

業界の人脈を広げることができる

事務所に所属していると、さまざまなプロデューサーを紹介してもらえたり、所属している他の脚本家と交流が図れたりと、人脈を広げることが可能です。

一人で活動している場合にはなかなか会えない作家や、プロデューサー、監督など同業者と会う機会が増えます。人脈は今後独立する場合にも貴重な財産になります。

脚本家として長く活動するために非常に役に立つ人脈が得られることもメリットと言えます。

脚本家がマネジメント事務所に入るデメリットは?

脚本家がマネジメント事務所に所属するデメリットとしては次のようなものがあります。

・マネジメント料(マージン)が高い
・待っていても仕事は来ない
・そもそも事務所に入れないこともある
・マネジメント事務所との交渉が必要となることもある

詳しくは次の通りです。

マネジメント料(マージン)が高い

デメリットの一つは、マネジメント料の高さです。

事務所からマネジメントサービスを受けたなら対価を支払うのは当たり前のことです。しかしこのマネジメント料をめぐってときどき問題が起きます。

脚本家が事務所に払うマネジメント料の相場は、クライアントが支払った脚本料の2~5割と言われます。マネジメント料の割合は、事務所によって違いますし、キャリアによっても異なります。

事務所側が、宣伝上、所属しておいてほしいと思うような大御所作家・人気作家に対しては、マネジメント料を請求しないケースも少なくありません。

一方、新人作家や知名度の低い作家はマネジメント料が高くなる傾向です。事務所としては、新人や知名度の低い作家ほど売り込みが大変なためマネジメント料を高くしないと割が合わないため、マネジメント料を上げざるを得ません。しかし、新人作家や知名度の低い作家にしてみれば、回ってくる仕事が少ないため、「ほとんど仕事をあっせんしてもらっていないのにマネジメント料が高くて割に合わない」という不満が生じがちです。

マネジメント料については、自分がモチベーションを失わずにやっていける高さかどうかよく考えて所属を決めた方がよいでしょう。

待っていても仕事は来ない

マネジメント事務所に所属したからといって、待っていても仕事が来るとは限りません。

実際のところ、新人作家にはなかなか仕事が回ってこないことが多くあります。そのため、積極的に「こういう脚本が書けます!」「こういうジャンルが得意です!」とポートフォリオや企画書をまめに作って事務所に働きかけておくことが必要です。

マネジメントでは、「売れている人をさらに売る」方が楽で儲かりやすく、「売れない人を売る」のはなかなか大変です。事務所に所属していても、仕事は人気のある作家に集中し、人気のない作家にはあまり仕事は回ってこないのが現実です。

成果を出さないまま長く事務所に在籍していると、ただでさえ仕事が回ってこないうえに、新しく入ってくる作家の方にさらに仕事を奪われ、ますます仕事が取りづらくなるという悪循環に陥ることがあります。

「高いマネジメント料を払っているのだから」とマネジメント事務所に自分の売り込みを任せっぱなしにしておくのは賢明ではありません。事務所に入っても、自分で仕事を奪いにいくくらいの姿勢が必要です。

そもそも事務所に入れないこともある

マネジメント事務所は、売り込みやすい作家を採用したいので、そもそもスキルや実績がない人を採用しません。

そもそも脚本家デビューをしていないケースや、デビューをしていても実績が少ない場合などは事務所に入れないことも少なくありません。

ちなみに、ある大手脚本家事務所の話では、売り込みやすい作家、採用したい作家というのは、下記5点を兼ねそろえた作家のことのようです。

1.20代~30代前半である
2.キー局、ゴールデン帯のドラマを書いたことがある
3.コンクール受賞歴がある
4.コミュニケーション力が高い(打ち合わせの現場でアイデアをどんどん話せる)
5.打たれ強くてフットワークが軽い(どんな批判を受けても、そこそこのクオリティの企画書を次々持ってくる)

上記要素を兼ねそろえていれば、事務所に入りやすいと言えるでしょう。

(ただ、上記要素を兼ねそろえていれば、わざわざ事務所に入らなくとも十分に独立してやっていけるとも言えます……。)

マネジメント事務所との交渉が必要となることもある

マネジメント事務所とギャラの交渉、契約変更の交渉が必要となることもあります。

マネジメント事務所に所属してみたものの、「仕事をほとんどあっせんしてもらえない」「結局自分で営業して仕事をとっているのにマネジメント料が高い」など、不満が生じる場合もあります。

不満や疑問が生じた場合は、マネジメント事務所ときちんと話し合い、不満や問題を解決するようにしましょう。

場合によっては契約条件の見直しが必要となることもあります。

脚本家マネジメント事務所に入るときに気を付けたいこと

事務所に所属する際には、実際にどういう対応をしてもらえるのか、どういうルールを守らなければいけないのか、契約書の内容を必ずよく確認しましょう。

具体的には下記のような点を確認するとよいでしょう。

・仕事のあっせん内容を確認する
・マネジメント料の範囲を確認する
・契約期間を確認する
・二次使用料の扱いを確認する

詳しくは次の通りです。

仕事のあっせん内容を確認する

所属してから「こんなはずじゃなかった!」ということのないように、あらかじめどのような仕事をあっせんしてもらえそうか具体的に確認するようにしましょう

自分が所属した場合、テレビドラマを書ける可能性が年間どの程度あるか、アニメ脚本を書く機会はあるか、その他執筆機会としてはどういうものがあるかなど、率直に聞いてみるようにしましょう。

また事務所の実績から、その事務所がどのジャンルに強いかを伺い知ることができるため、実際の所属作家へのあっせん状況を聞いてみてもいいでしょう。

所属する前に、どの程度の仕事が取れそうか確認しておくようにしましょう。

マネジメント料の範囲を確認する

マネジメント料を支払わなければならない範囲を確認しておくようにしましょう。

例えば、自らコンクールに応募した作品が受賞して映像化に至った場合、また、自ら積極的に営業を行い脚本執筆の機会を得た場合にもマネジメント料を払わなければならないかどうかといった点です。

また、マネジメント料を支払わなければならない期間についてですが、事務所によっては、事務所に所属している期間中にできたテレビ局との人脈を使って今後仕事を得た場合についてもマネジメント料を支払わなければならないケースもあります。

事務所に所属している場合、自分で営業をして獲得した仕事についてもマネジメント料を支払わなければならないかどうか
事務所との契約解除後、事務所所属時の人脈を使うとマネジメント料を支払う必要があるかどうか

この2点については、事務所と脚本家がよく揉める点と言えるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

特に、契約終了後にもマネジメント料を支払う契約は、過剰な縛りとして現在は避けられる傾向にあります。

二次使用料が正当に扱われているかどうか確認する

脚本には二次使用料といって書いた作品が再放送になるときにも脚本使用料が作家には支払われることになっています。これは脚本家の著作権に基づいた大切な収入です。

この二次使用料について、しっかり支払われるかどうかも確認するようにしましょう。二次使用料は脚本家に請求する権利がありますが、その権利を行使できない契約になっていたりする場合もあります。権利行使できない場合は、もちろん二次使用料は受け取れません。

納得の上での契約であればよいのですが、知らないうちに本来使える権利を行使できない契約にサインしている場合もあるため、しっかりと確認するようにしましょう。

まとめ

マネジメント事務所には、仕事のチャンスが増える、脚本を書くことだけに集中できる、というメリットがたくさんあります。一方で、うまく飛躍につなげられないケースも少なくありません。

マネジメント事務所に入りたい場合は、事務所との相性もありますので、気になる事務所があれば、まずは積極的に働きかけて応募がてら話を聞いてみるのが良いでしょう。

また、一方で、実際にはマネジメント事務所に所属しないで活躍している脚本家の方が多いといえます。

脚本家の場合は、事務所に無理に所属しなくても活動はできるため、慎重に所属を決めるようにしましょう。

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