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映画分析 英語でシナリオ

映画「スポットライト 世紀のスクープ」の脚本分析(1)アカデミー脚本賞受賞作品

2016年第88回アカデミー賞作品賞と脚本賞を受賞した映画「スポットライト 世紀のスクープ」のシナリオ(Script)を細かくみていきます。

1.映画「スポットライト 世紀のスクープ」とは

ところで「スポットライト 世紀のスクープ(原題:Spotlight)」とは、どんな映画でしょうか。

これは、「カトリック教会の性的虐待とその隠蔽」という大スキャンダルを暴いた新聞記者たちの奮闘を描いた実話ベースの物語です。

実際に、ボストン・グローブ紙の「スポットライト」というコラムを担当するチームが、この事件を2002年に暴いてから、事件は世間の注目を集め、世界各国で同じようなカトリック教会の聖職者による性的虐待の告発が相次ぐことになりました。

映画の見どころは、記者たちが、この「権威ある大教会が、性的虐待を“組織ぐるみで”隠ぺいしていた」という世紀の大スクープを世に伝えるため、数々の妨害や障害を経て、丹念に調べ上げていくところです。

派手な描写はなく、淡々と描かれていますが、とても骨太で見ごたえのある作品です。

2.英語シナリオ(Script)のありか

「スポットライト」の英語シナリオは、英語での原題「Spotlight」+「Script」で検索するといくつか出てきます。

このサイトで参考にした脚本は下記です。

https://www.scriptslug.com/assets/uploads/scripts/spotlight-2015.pdf

シナリオの見方は、前回の記事に記載のとおり。

英語シナリオの見方 | ヒット作を書くためのシナリオ学習室 (small-trickster.com)

それでは早速見ていきたいと思います。

3.第一幕(Setupの20分)あらすじと英語セリフのポイント

映画の構成は基本的に、第一幕(設定 Set-up)、第二幕(対立 Confrontation)、第三幕(解決 Resolution)の3部構成でできています。大体時間の配分は、第一幕:第二幕:第三幕=1:2:1です。

この映画では最初の20分が、第一幕の設定説明(セットアップ)です。

具体的には、p2「1 INT. POLICE STATION, BOSTON - NIGHT, 1976」からP26のシーン30「30 INT. GARABEDIAN’S OFFICE, CONFERENCE ROOM - CONTINUOUS」の終わりまで。

本作品は、とにかく登場人物が多い。第一幕では、そのキャラクターの紹介と、これから何が起こるかが描かれています。

ここでは印象的なファーストシーンの一部を紹介します。このシーンで、二十数年も前から、神父による児童性的虐待が、隠蔽されていたことが伺われます。

1   INT. POLICE STATION, BOSTON - NIGHT, 1976
A quiet, cold winter night. An OLDER COP emerges from an
INTERVIEW ROOM, walks down a long hall.
Boston, MA - December, 1976
He reaches the front desk. A YOUNG COP looks to him,
curious, as he lights a cigarette.

YOUNG COP
How’s that going?

OLDER COP
The mother’s bawling and the uncle’s
pissed off.

YOUNG COP
She’s not married?

引用’:SPOTLIGHT Written by Josh Singer & Tom McCarthy

シーン1 ボストン警察(中)、1976年、夜
静かな寒い冬の夜。年配の警官が取調室から現れ、長いホールへと歩いてくる。
 (クレジット)ボストン、マサチューセッツ州、1976年12月
警官はフロントデスクに来る。すると若い警官が興味深そうに彼を見る。
彼は煙草に火をつける。


若い警官
どうでした?

年配の警官
母親は号泣、叔父は怒鳴りまくってる。

若い警官
結婚してないんですか?(夫は?)

※「スポットライト」字幕参照

日本語は、字幕を参照しています。字幕は1秒4文字という制約があるせいか、短めのわかりやすい意訳になっています。

ここれは、年配の警官と若い警官が、性的虐待の訴えで警察にきた被害者とその母親たちの様子について語っています。
このとき、訴えられているゲーガン神父が一人、別室に控えている様子がチラリと映ります。

そのとき、署に、地方検事補が現れます。地方検事補は、年配の警官に「マスコミ(新聞社)に漏らすなよ」と言いくるめて、被害者の母親たちをなだめている司教のもとに去っていくと、二人はこんな会話をします。

YOUNG COP:Who’s that?
若い警官:あれ誰?


OLDER COP:Assistant DA.
年配の警官:地方検事補


YOUNG COP:Gonna be hard to keep the papers away from the arraignment.
若い警官:裁判になればどうせバレるのに(罪状認否になると新聞社を遠ざけてはおけないでしょう)


OLDER COP:What arraignment?
年配の警官:ならんさ(なんの罪に問われるっていうんだ?)

引用:SPOTLIGHT Written by Josh Singer & Tom McCarthy、「スポットライト」字幕参照

若い警官は「神父の罪を隠そうったって無理だ」というのですが、年配の警官は、神父が罪に問われないことを悟りきっています。

この1976年から、神父の性的虐待について罪に問われないことが常態化していることが分かります。

ちなみに本作の作品のエンドロールには、延々と性的虐待をしていた神父の名前が挙げられていくのですが、ここではそれと対になるかのような、まだ犯罪が放置されていた時の様子が描かれています。

テーマを暗示したとても印象的なファーストシーンです。

(続く)

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