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映画分析

名作から学ぶ|映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のあらすじ(ネタバレ)3パターン

みんな大好き!世界的大ヒット映画「ハリー・ポッターと賢者の石」!

大ヒット映画ながら「実は見たことがない……」「見たけど大昔のことなので忘れてしまった……」とあらためてあらすじを確認したい人もいるのではないでしょうか。

ここでは映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のあらすじを下記3パターンで紹介します。

あらすじ1:1~2行のあらすじ。ログラインと呼ばれ、映画の見どころを端的に示したもの
あらすじ2:400~800字のあらすじ。1分のPRなどで使われるあらすじ。
あらすじ3:三幕構成のプロットポイントまとめ。ヒット映画には必須の15の展開ポイントをまとめたもの。

3つの違いがよくわからなくても実際に見てみて、知りたかったもの、読みたかったものを活用してください!

また、この3つのあらすじは、脚本家が脚本を書く際に必要となるあらすじです。これらの3つのあらすじが必要な理由と、脚本を学ぶ上でどう生かすかについて解説します。「将来、大ヒット映画を書きたい!」という人は後半の情報もぜひ参考にしてください。

それでは具体的に見ていきましょう。

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」基本情報

この記事では下記の映画「ハリー・ポッターと賢者の石」について詳しく見ていきます。

日本語タイトル:「ハリー・ポッターと賢者の石」
原題:Harry Potter and the Sorcerer's Stone、製作:ワーナー・ブラザース(米)、2001年
配給:ワーナー・ブラザース、上映時間:152分、日本初公開:2001年12月1日
キャスト:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン……etc

あらすじ1:映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のログライン

「ログライン」とは、その映画の内容と見どころを1~2行で言い表したもののことです。

<「ハリー・ポッターと賢者の石」ログライン>
闇の魔法使いに両親を殺され、ただ一人生き残った少年ハリー・ポッターハリーを殺しそこねて力を失った闇の魔法使いは「賢者の石」を手に入れ魔法界に復活しようとするが、ハリーが仲間とともにそれを阻止する。

ヒットする映画は、ログラインに「ぜひ見てみたい!」と思わせる引きがあるといわれますが、いかがでしょうか?

ストーリーの軸は、主人公のハリーが、両親の命を奪った宿敵の闇の魔法使いと戦いを繰り広げることです。

宿敵との戦いは全世界共通で共感できる、わかりやすいストーリー軸ですね。

その軸を彩るものとして、魔法界のめずらしさや楽しさ、親友のロンやハーマイオニーとの友情といった盛りだくさんのお楽しみ要素があります。

あらすじ2:映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の400字あらすじ

もう少し詳しいあらすじを見てみましょう。

<「ハリー・ポッターと賢者の石」400字あらすじ>
生まれてすぐに両親を亡くしたハリー・ポッターは、親戚の家であるダーズリー家に預けられ、まるで召使いのようにこきつかわれて暮らしていた。そんなハリーの11歳の誕生日に、ホグワーツ魔法学校から入学許可証が届いた。そこで初めて、ハリーは自分が魔法使いであり、亡くなった両親も魔法使いであったことを知るのだった。しかも両親は、闇の魔法使い”ヴォルデモート”と戦ってハリーを命がけで守ったために死んだのだった。魔法界ではその事件が伝説となっておりハリーは「奇跡の子」として知られる有名人のなっていた。ハリーはホグワーツに進学することにした。
 ハリーはホグワーツで、赤毛のロンと優等生のハーマイオニーという同級生と仲良くなる。そんななか、闇の魔法使いヴォルデモートが、ダンブルドア校長が持つ「賢者の石」を狙っていた。ヴォルデモートはハリーの両親と死闘を繰り広げた際に、魂のかけらだけの存在となっていたが、「賢者の石」を手に入れることで永遠の命を得て魔法界に復活しようと企んでいたのだった。ハリーは、ヴォルデモートのその企みに気づき、ロンやハーマイオニーとともにヴォルデモートに立ち向かう。

いかがでしょう? あらすじだけでもワクワクするのではないでしょうか。

あらすじ3:映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の三幕構成

ここでは三幕構成の15の展開ポイントにそったあらすじを紹介します。

ヒットする映画というのは、ストーリーの構成が三幕構成でできていると言われています。三幕構成(※1)とは、ストーリーが「第一幕(設定)」「第二幕(対立)」「第三幕(解決)」と3つの幕に分かれていることをいいます。

ストーリーの内容がいくら面白くても、展開のさせ方(シーンの順序)が悪いと、見ている人は面白く見ることができませんが、この三幕構成に沿って展開させると、ハラハラドキドキ、先のことが気になりながら楽しく見ていくことができるといわれています。このためヒット作の多くはこの三幕構成で展開しています。

ここでは三幕構成の展開を、ブレイク・スナイダーの提唱した15ポイント(※2)のプロットポイントにそって紹介します。

※1 三幕構成とは
ストーリーが「第一幕(設定)」「第二幕(対立)」「第三幕(解決)」の3つの役割を持つ幕に分かれることを言う。
※2 ブレイク・スナイダーの15ビート(15ポイント)とは
世界的ベストセラー「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」の著者ブレイク・スナイダーが唱えた、三幕構成を構成する15ビート(15のポイント)のこと。例えば「第一幕(設定)」は:1)オープニング・イメージ、2)テーマの提示、3)セットアップ、4)きっかけ、5)悩みのとき、6)第一ターニングポイントの6ポイントで示される。詳しくはこちらを参照

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の第一幕あらすじ

オープニング・イメージ:映画の第一印象を示す(スタイル、雰囲気、ジャンル、スケール)&主人公の出発点を示す

魔法界のダンブルドア校長とマクゴナガル先生、ハグリッドが深夜にひっそりと赤ん坊のハリーを、人間界のダーズリー家に預けにいく

テーマの提示:登場人物の誰かが問題提起、テーマに関連したことを口にする

マクゴナガル先生が、赤ん坊のハリーポッターを見て「この子は魔法界で誰よりも有名になる子ですよ」と言う。

セットアップ:登場人物の紹介、後に起こる問題の原因となる行動の提示。主人公に必要なものや欠けているものを示す。

両親を亡くしたハリーは、親戚のダーズリー家で育つが、ダーズリー家のバーノンおじさん、ペチュニアおばさん、いとこのダドリーから召使いのようにこき扱われていた。また、バーノンおじさんたちは、魔法使いのことを「化け物」と見下していて、ハリーが魔法使いであることをハリー本人に隠していた。

きっかけ:セットアップで紹介した世界がぶっつぶされる

ハリーのもとに「ホグワーツ魔法学校の入学許可証」が届く。ハリーは自分が魔法使いであることを初めて知る。

悩みのとき:自分の目標は実現不可能じゃないか、本当に行くべきなんだろうかといろいろ迷う。何かしらの疑問を持つ。

ハリーは、自分が魔法界で有名人であることを知る。だが、なぜ自分が有名人なのか不思議に思う。ハリーは、闇の帝王ヴォルデモートに襲われたにもかかわらず命がけでハリーを守った両親のおかげで、奇跡的に生き残ったのだった。そのため「奇跡の子」としてみんなが知る存在となっていた。また、その戦いのあと、ヴォルデモートは姿を消していた。

第一ターニングポイント:主人公が明確な意志をもって、これまでの世界から新しい世界へ踏み込む。自らの意志で旅に出る。

ハリーは、ホグワーツ急行に乗り、ホグワーツ魔法学院へと向かう。ホグワーツ急行の車内で後に親友となるロン・ウィーズリーという少年と、ハーマイオニー・グレンジャーという少女に出会う。

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の第二幕あらすじ

サブプロット(Bストーリー):メインプロット(Aストーリー)の息抜きをしながらも前進させるブースターロケット的な役割をするもの。メインプロットがサクセスストーリーなら、サブプロットはラブストーリー・友情物語などが多い。

ハリーは、ロン、ハーマイオニーとともに、学校生活を楽しみ、友情を育んでいくこととなる。

お楽しみ:観客に対するお約束を果たす場。ポスターや予告編で使われていた観客が見たいシーンが展開。危機的状況は起こらず安心して楽しめる。

ハリーの楽しい魔法学校生活が始まる。羽を飛ばす呪文を学んだり、ほうきで空を飛ぶことを学んだり、クイディッチの選手に選ばれたり。やんちゃなハリーとロンは、優等生のハーマイオニーと対立したこともあったが、お互いに助け合い、友情を深めていった。

ミッド・ポイント:本題に戻る分岐点。主人公は見かけ上、絶好調(あるいは真逆の絶不調)になる。いきなり危険度がアップして「お楽しみ」が終わる。

ハリーはクイディッチの試合に選手として参加。だが教師のスネイプか誰かがハリーの空飛ぶほうきに呪文をかけ、ほうきは暴走し、ハリーは空から転落しかける。しかしハーマイオニーたちのおかげで呪文は解け、ハリーはなんとか命を落とさずにすんだ。そしてハリー達のチームは試合で勝利を収めることができた。

迫りくる悪い奴ら:主人公の的(悪い奴ら)が態勢を立て直して総攻撃を仕掛けようと決意し忍び寄ってくる。

ハリーは、教師のスネイプが、ダンブルドア校長が守っている「賢者の石」を狙っていると推理する。賢者の石を手に入れると永遠の命が得られるのだ。
また、ハリーは、ホグワーツの森で、ユニコーンの血を吸う怪しい影を見かける。それはヴォルデモートの魂だった。ユニコーンの血を吸ったものは呪われながら生きるしかばねとなるが、ヴォルデモートはユニコーンの血を吸ってでも魔法界によみがえろうとしていた。
ハリーはスネイプがヴォルデモートのために賢者の石を手に入れようとしているのだと悟る。

すべてを失って:ミッドポイントの真逆の状態(絶不調あるいは絶好調)になる。死の気配がある。

スネイプが今にも賢者の石を奪おうと狙っていることをダンブルドア校長に伝えようとする。しかし、ダンブルドア校長は出張で不在だった。マクゴナガル先生も取り合ってくれない。ダンブルドア校長が不在になる今夜こそ、スネイプは賢者の石を奪おうと計画していると思われた。絶体絶命の状態に。

心の暗闇:5秒程度~5分で表現されることが多く、長さはケースによる。主人公は深く考え心の奥底を探る。

(該当シーンなし)

第2ターニングポイント:解決策がひらめく。第三幕への転換点。

ハリーは、ロン、ハーマイオニーとともに、自分たちで賢者の石を守りに行くことにする。

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の第三幕あらすじ

以下ではネタバレがあるため、ご注意ください。

フィナーレ:全てのまとめ。メインプロットもサブプロットも主人公が勝利して終わる。悪い奴らは一掃される。

ハリー、ロン、ハーマイオニーは賢者の石をスネイプの手から守ろうと賢者の石の隠されている場所へと向かう。ハリーたちは、先に進むため、「賢者の石」を守るためにかけられた数々の魔法と戦う羽目になる。戦って負傷したロンをハーマイオニーに任せてハリーはさらに先へと進む。
ハリーは、賢者の石まであと一歩というところで、賢者の石を狙っていた相手と対峙する。それはスネイプではなく別の教師のクイレルだった。クイレルにはヴォルデモートの魂が寄生していた。
そして、賢者の石を奪い合う、ハリーとヴォルデモート。
ハリーは両親の愛の力に守られていて、ヴォルデモートに打ち勝った。戦いに敗れ、ヴォルデモートは逃げ去っていった。

ファイナルイメージ:オープニングイメージと対のもの。本物の変化を見せ場。

ホグワーツ魔法学院の1年が終わった。魔法学院の学年末最後の晩餐会で、ハリーやロン、ハーマイオニーたちの勇気ある行動がたたえられた。
そしてハリー、ロン、ハーマイオニーたちは、学年末の休暇のため家へと戻る。
家へ戻るとはいうものの、ハリーは、ダーズリー家はもはやハリーにとってのホームでなく、自分の居場所は別にあると悟るのだった。

いかがでしたでしょうか。

ヒット映画は、三幕構成において、15の話の転換点がきちんと用意されているため、ストーリー展開を失速することなく面白く見ることができます。

脚本を作る際に必要なログラインと三幕構成

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のあらすじを3パターン紹介しました。

ここでは、映画「ハリー・ポッターや賢者の石」のような大ヒット映画の脚本を書いてみたい!という人に向けて、

・あらすじ1:1~2行のあらすじ。ログラインと呼ばれ、映画の見どころを示すもの
・あらすじ2:400字のあらすじ。1分のPRなどで必要になる
・あらすじ3:三幕構成のプロットポイントまとめ。ヒット映画には必須の15の展開ポイントをまとめたもの。

という3つのあらすじが、どういうときに必要で、どう役立つかを紹介します。脚本作りに興味がある人はぜひ目を通して見てください。

ログラインは全てのスタート

ログラインとは、先にも触れた通り、「誰が何をするストーリーのなのか」というあらすじを1~2行で表したものです。

ログラインで、そのストーリーの見どころを凝縮した核となるもののため、キャラクターやストーリー展開の詳細を考えたる前に、まず決めておいた方がいいといえます。

ログラインは、ハリウッドでも重視されている要素です。

映画の脚本をシビアに売り買いするハリウッドでは、エージェントやプロデューサーのもとに大量の脚本が送られてくるため、まずログライン良し悪しで脚本の良し悪しが判断されます。このため、ログラインでそのストーリーが面白いと予感させることがかなり重視されています。

ハリウッドでない日本で脚本を書く場合は関係ないかと言えば、そうでもありません。ログラインに面白いと思える要素がないのであれば、そのログラインに沿って作品を作っても、そもそも人を引き付ける作品とならない可能性があります。

実際のところ、多くのヒット作品のログラインには強い引きがあります。

引きとは、多くの場合「アイロニー(皮肉)があること」と言われています。

皮肉のあるストーリーとは、例えば、「いじめられっ子なのに、大悪党をやっつける」「学校に通うことのできなかった少年が世界を変える」など、「え? どうやって?」「そんなことできるの?」と思えてしまうことをやりとげてしまう話のことです。

ハリー・ポッターの場合は、「みなが恐れる大悪党である闇の帝王を、ひとりの少年がやっつける」という皮肉があります。そのログラインを見た人は、「少年がどうやって大悪党を倒すの?」という疑問をいだくとともに、そこに壮大な戦いが展開されることを期待して面白く感じるのです。

ログラインは、ストーリーメイキングの第一歩として、脚本を作る前にしっかりと練ることがおすすめです。

資金集めやコンクール受賞などPRに必要な400~800字程度のあらすじ

ログラインに次いで、400字~800字のあらすじも大切です。

ハリウッドなどでは、エージェントやプロデューサーに、ログラインに興味を持ってもらえた場合、より詳しい内容を伝えるために1分のピッチ(プレゼンのようなもの)をするのに400字~800字程度のあらすじを伝える必要があります。

日本の場合は、例えばシナリオコンクールに脚本を応募する場合や、映画化を映画制作会社や関係者に制作を打診する際の企画書に、400字~800字のあらすじを記載する必要があります。

400字~800字のあらすじでは、ログラインで見せた面白さが、具体的にどのようなキャラクターでどのような世界観で展開していくか、オチ(ネタバレ)を含めてしっかりと表すことが重要です。

三幕構成は、ストーリーを効果的に見せるための手段

三幕構成とは、ストーリーを効果的に見せるための構成方法です。

頭にできあがりつつある物語を、視聴者に「面白い!」と思って見てもらうためには、物語の展開の順序が大切です。特に多くの人が見入ってしまうヒット映画には共通の構成ルールがあり、それが三幕構成と言われています。

三幕構成については、「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」(ブレイク・スナイダー著、フィルムアート社)でも具体的な方法が詳しく解説されているのでぜひ参照してください。

3分で読破!「脚本・シナリオの書き方」(内容・創作編)」でも紹介した通り、物語は、ログラインを作り、それから登場人物やストーリーを膨らませていき、最終的には、三幕構成の構成手順にのっとってストーリーを展開させていくことが面白く書くコツです。

実際のヒット作のログラインや三幕構成などを参考にし、学びながら、自信の作品作りにも役立ててみてください。

まとめ

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のあらすじを紹介しました。

世界的大ヒット作品のログラインや、あらすじ、三幕構成は参考になったでしょうか?

名作のログラインや、あらすじ、三幕構成を分析することは、自分の作品を磨くためにも役に立つため、映画「ハリー・ポッターと賢者の石」に限らず、好きな作品で、分析、検討してみることをおすすめします。

多くの作品のパターンを実際に見て、ログラインや三幕構成の効果を実感することで、自分の作品のログラインや三幕構成の作り方がうまくなります。

ぜひこれらの情報を作品作りに役立ててみてください。

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